1982年4月、俳句研究新社から刊行された佐藤三保子の第2句集。
この句集は、昭和五十三年から五十六年まで四年間の作品を収録いたしました。始めはもう少し書き溜めてからと思っていたのですが、この四年間は「俳句研究」の五十句競作に連続四回も応募した歳月でしたので、このあたりで作品がどのようになっているか見ておきたかったことと、今後は「五十句」を一気に書くほどの体力が残されているかどうかも危惧されて来ましたので、にわかに思い立って一集に纏めることに致しました。
原稿を整理していて解ったことは、「五十句」を書く頃が年間でいちばん調子の悪いときで、そのあと少しずつ書けるようになっていることでした。書けないときに無理をして書くことが、私の場合は役立っているようで、一瞬にして天恵を賜わることなど私にはないということでした。
題名の「青墨」は、青味を帯びた墨のことで、この墨色で書かれたものは、一種凄艶な趣があります。私も次第に色香の失せる季節にさしかかって来ましたので、せめて青墨ほどの優雅さを保ちたいとの念願から、この題名を選びました。
(「あとがき」より)
目次
- 石泣く日
- 激しき夏
- わが葉月
- 菫の間
あとがき