1991年9月、点点洞から刊行された岩崎美弥子(1962~)の第1詩集。表紙画は百瀬寿、装幀は高橋昭八郎。
この小さな詩集を作るために考えたことは次のようなことです。まず、できるだけ私の思い込みや肩の力を抜いて、詩だけがそこにあること。二十一篇の詩がそれぞれ自分の場所を選んで、運動するための環境としての詩集であること。つまり私のためではなく、詩のための詩集であることをねらいにしました。表紙や活字にいたるまで、私の意図したところというより、詩が自らのために選んだのだと考えています。
言葉は辛うじて生まれるものでしかない、という想いが詩を書いたり、人と対話をしたりするたびに深くなっていきます。一つの言葉を選択しようとするとき、人は何と多くの気持ちを秤にかけるのでしょう。言葉の運動、科学でもなく人生のための哲学でもない領域。《何か、あるもの》を指し示すためだけの、常に未完成の場所に開かれ向かっている領域が、私を引きつけるのです。
(「あとがき」より)
目次
- 水の反映
- 裸身の女神
- 夜想曲4
- 花を摘みに
- 音楽の玉葱
- 桜桃
- 女友達
- 24時間の真昼
- スーラの午後
- 島
- 蜜蜂のダンス
- 水の戯れ
- 大気と水と月のシステム
- Inherbirthdaysuit
- 目眩
- MorningSong
- 苔の花
- 海を写しに来た人
- 巻き貝
- 月
- 冬の旅・一九七八
あとがき