2003年8月、平凡社から刊行された大貫伸樹の装幀研究書。著者自装。撮影・レイアウトは伊藤庸一。
目次
●第一部 装丁探索
・橋口五葉の装丁
・小村雪代
・谷崎潤一郎と木下杢太郎
・木下杢太郎
- 装丁もする杢太郎
- 趣向と出自
- 描きだめしていた『心の遠景』の装画
- タイトルを知らずに描いた『ちぎれ雲』の装画
- もったいなすぎる『黄金虫』の装丁
- 杢太郎の植物画と画家への憧れ
・室生犀星の装丁論
- 芥川の自著自装
- 厳しい注文と思いやり
・竹久夢二
・朔太郎と田中恭吉
- 「月映」の版画家達
- 友情のリレーで完成した詩画集『月に吠える』
・杉浦非水の装丁
- 長寿のデザイン
- 円本全集と装丁家としての活躍
- 杉浦非水略年譜
・『現代日本文学全集』の装丁
- 円本第一号の造本モデルは『吾輩ハ猫デアル」か?
- 月刊雑誌「キング」をひな形?
・円本全集の装丁
- 円本全集ブームとは?
- 円本全集の優れた装丁
- 活躍している画家総出?
- 円本と国産ブッククロス
・四六判と菊判の奔流争い
- 四六判の前身
- 四六判、菊判の誕生
- 菊判から四六判へ
- 巻末広告に見る書籍の出版点数と判型分類
- 円本全集一二タイトルの第一回配本時仕様比較
- 四六判でも格調高い段抜き
・斎藤昌三と製本師・中村重義
- 限定本で書物としての良さ美しさを
- 筍の皮を使った装丁
- 番傘を使った装丁
- 蓑虫を使った装丁
・頴川政由紀
- 白水社の限定本と頴川政由紀
- 江川書房と江川正之
- 趣味としての出版?
・野田誠三
- 内容と造本が響きあう本
・ 岡本芳雄
- 一篇一冊、飾りはいらない
- 『理想の書物』
・東郷青児
- 画家東郷の誕生
- 挿絵と装丁
- 画家としての装丁へのこだわり
- 花森の装画
- にがい経験
- プームを演出した花森の装丁
- 『暮しの手帖』のルーツ
・新書判とカッパ・ブックス
- 新書判の誕生とブーム
- カッパ・ブックスの誕生と判型
- 一点一点異なる装丁
・谷内六郎の装画
- 漫画賞受賞まで
- 「週刊新潮」の表紙絵一三〇三枚
- 単行本の装丁
・棟方志功の装丁
- あの谷崎をうならせた棟方の装丁
- 板画の開眼
- 装丁を始める
- 造本意匠や装丁資材へのこだわり
- 宇野のイラストとの出会い
- 拡がる宇野の卵と、フェニックス宇野
・山藤章二
- 一筆必笑
- 「見立て絵」の原点
- 著者とのコラボレーション
・司修
- 文章も書く
- 多彩な表現様式を操るから新鮮
・安野光雅の装画
- ふしぎな絵の原点
- 小人の視線で描かれた野の花
- 絵のなかを旅する
- 「すうがく」を描く
- 総まとめの大仕掛け?『ちくま日本文学全集』
- 「きりえ」
- モノトーンの版画とコラージュ風表現
- 小村雪告に学ぶ?
・杉浦康平
- 季刊「銀花」の表紙
- 疑似空間へ誘う本
- 風合いを触覚で楽しむ装丁
●第二部・針金綴製本と洋本化
・針金際上製本
・針金を使った製本の日本上陸
- 教科書も和本から洋本へ
- 日本で最も古い針金綴は教科書?
- 『小学習画帖』で『読書入門』の製本テスト?
- ボックの著すフィーベルならびにレーゼブック
- 教科書の洋本化と南京綴
・民間ではいつごろから 針金綴が始まったのか?
- 糸・紙縒綴の冊子から針金綴の冊子へ
- 明治中期の冊子の製本仕様一覧
- 国産の針金「中綴」の嚆矢
- グラフ誌の登場と針金中綴
- グラフ誌の製本分類
- 文献に見る日本の針金綴の歴史
・手作業の針金綴冊子と中綴の普及
- 中綴の嚆矢?
- 最初は手作業だった針金綴冊子
- 針金中綴は和本の影響を受けない舶来技術
- 限りなく上製本に近い糸中綴製本がある
- 国産でも針金縢りで上製本に挑んだ本があった
- 珍しい紐中綴の単行本
- デニソン鋲と鳩目パンチ
・国産初の針金綴機械
・洋本化
- 面付け、ノンブル、目次の登場
- 大量情報伝達装置と読者の誕生
・板紙の発明と量産化
- 国産初の板紙(ボール紙)
- ボール紙の量産化を図る
- 機械を輸入して、本格的なボール紙の機械生産開始
・国産洋紙の生産と地券紙
- 機械による国産洋紙の生産
- 地券紙
- 国産洋紙へのさらなる追い風とマスメディア
・ボール表紙本と南京綴
- ボール表紙本とはどんな本?
- 「欧洲奇事花柳春話』は南京綴か?
- ボール表紙本の特徴
- プレ・ボール表紙本
- ボール表紙本の初期、中期、後期
- ボール表紙本は南京綴か?
・皺紙
- 『虚靈』解体、改綴
- 技術者の手になる皺紙誕生記
・アジロ綴
- アジロ綴製本の考案者に出会う
- アジロ綴考案記
- ノリを使う製本は無線綴から始まった
- 四五年間も動き続けるアジロ綴製本機を訪ねる
- 「アジロ綴製本」の普及
- 昭和四八年にアジロ綴製本が急増したもう一つの理由
・広開本
- 広開本の開発
- 広開本の製作工程を見学
あとがき