2019年10月、論創社から刊行された小田光雄(1951~)のエッセイ集。装幀は鳥居和昌。日本古書通信連載。第29回Bunkamuraドゥマゴ文学賞受賞作品。選者は鹿島茂。
目次
- 1 近代古書業界の誕生
- 2 佐野眞一『だれが「本」を殺すのか』と大島一雄『歴史のなかの「自費出版」と「ゾッキ本」』
- 3 古本屋と『現代史資料』
- 4 『世界文芸大辞典』の価値
- 5 高浜虚子「杏の落ちる音」と岡田村雄
- 6 中村古峽の出版
- 7 三上於莵吉の翻訳
- 8 『村上太三郎傳』と『明治文学書目』
- 9 白水社『模範仏和大辞典』と仏文学者
- 10 戦前の『図書総目録』
- 11 「御愛読趣味家鑑」
- 12 北上二郎訳『悪の華』
- 13 船戸与一前史資料
- 14 大正期の出版と宗教
- 15 北上二郎訳『悪の華』顛末
- 16 アンダーグラウンド出版の水脈
- 17 博文館の『温泉案内』
- 18 小山書店と流通問題
- 19 三笠書房と艶本人脈
- 20 浜松の泰光堂書店の閉店
- 21 フロイトの邦訳と大槻憲二
- 22 エマ・ゴールドマン『リビング・マイ・ライフ』の全訳完了
- 23 エマ・ゴールドマンとサダキチ・ハートマン
- 24 矢島輝夫と矢切隆之
- 25 倉田良成『歩行に関する仮説的なノート』と新木正人「天使の誘惑」
- 26 正宗敦夫の出版事業
- 27 正宗白鳥の読書史
- 28 小林秀雄戦前の座談会
- 29 出版と高利貸し
- 30 パサージュのビジュアル本
- 31 関根康喜=関根喜太郎=荒川畔村
- 32 寺田鼎の翻訳
- 33 大宅壮一の翻訳工場と榎本桃太郎
- 34 小林勇と鐡塔書院
- 35 日本評論社、美作太郎、石堂清倫
- 36 折口信夫と『世界聖典全集』
- 37 高度成長期の作家 梶山季之
- 38 桜井均『奈落の作者』
- 39 山本夏彦の前歴
- 40 池本喜三夫と『佛蘭西農村物語』
- 41 ダヴィッド社版、安東次男訳『悲しみよ こんにちは』
- 42 出版社としての鎌倉文庫
- 43 南天堂書房と宮内壽松『寒紅譚』
- 44 ヴィゼテリー社のゾラとドストエフスキーの英訳
- 45 マックス・ミューラーと日本
- 46 マックス・ミューラーと南条文雄
- 47 高楠順次郎の出版事業
- 48 海賊版出版社 KEIMEISHA
- 49 オリンピア・プレスと「人間の文学」「ロマン文庫」
- 50 パトリア書店と丸元淑生
- 51 写真集『アッジェのパリ』
- 52 小栗虫太郎『黒死館殺人事件』と松山俊太郎
- 53 浅見淵『昭和文壇側面史』と尾崎一雄『あの日この日』
- 54 聚英閣と聚芳閣
- 55 足立欽一と山田順子
- 56 武侠社と柳沼澤介
- 57 ポオ『タル博士とフエザア教授の治療法』、南宋書院、涌島義博
- 58 叢文閣、足助素一、プーシキン『オネーギン』
- 59 フーコーの英訳『言葉と物』
- 60 ガラン訳『千夜一夜物語』と「バベルの図書館」
- 61 『千一夜物語』のレーン訳とマルドリュス訳
- 62 バートン版の『千夜一夜物語』と大場正史
- 63 大佛次郎『赤穂浪士』と昭和初期社会状況
- 64 春江堂版『侠客木曽富五郎』
- 65 六〇年安保と『生田夫妻追悼記念文集』
- 66 片山廣子『翡翠』 ゆめもなく寝ざめ寂しきあかつきを魔よしのび来て我に物いへ
- 67 第一書房『近代劇全集』のパトロン
- 68 「土佐乞食のいろざんげ」と『日本残酷物語』
- 69 『週刊アサヒ芸能』と梶山季之『生贄』
- 70 近代文学社編『現代日本文学辞典』
- 71 光画荘と北野邦雄
- 72 綜合社と森一祐
- 73 フォークナー「日本の若い人々へ」
- 74 追悼 草森紳一①
- 75 追悼 草森紳一②
- 76 大道書房と子母澤寛
- 77 池田得太郎『開拓者依田勉三』と「家畜小屋」
- 78 戦後文学と商店街
- 79 吉行淳之介と冨山房『世界童謡集』
- 80 佐々木千世『ようこそ! ヤポンカ』と開高健『夏の闇』
- 81 野々上慶一と『宮沢賢治全集』
- 82 浅田孝『環境開発論』
- 83 巨木と文学
- 84 昭和五年の自費出版の背景
- 85 藤井誠治郎『回顧五十年』と興文社
- 86 至誠堂「大正名著文庫」と幸田露伴『洗心録』
- 87 幸田露伴と東亞堂「日本文芸叢書」
- 88 国民文庫刊行会の『国訳漢文大成』
- 89 忠誠堂版『努力論』と「現代小品叢書」
- 90 露伴校訂『狂言全集』と安田善次郎
- 91 露伴の甥・高木卓『歌と門と盾』
- 92 田口卯吉と経済雑誌社
- 93 洛陽堂『泰西の絵画及彫刻』と『白樺』
- 96 大江賢次『アゴ伝』
- 95 洛陽堂河本亀之助
- 96 上村益郎と高見澤木版社
- 97 宇野浩二と近松秋江
- 98 宇野浩二、小出楢重、森谷均
- 99 岩本和三郎と石塚友二
- 100 美和書院『話をきく娘』
- 101 三宅やす子『偽れる未亡人』『未亡人論』
- 102 『ウーマンカレント』と文化生活研究会
- 103 庄司浅水と『愛書狂』
- 104 晩酌のお伴の本
- 105 大泉書店の『旅へのいざない』『釣百科』
- 106 高野慎三『宿場行』、つげ義春・『図説日本文化地理体系』
- 107 ロラン・バルト、バルザック、カザノヴァ
- 108 バルザック『セラフィタ』
- 109 佐藤正忠『学生易者』と高杉良『濁流』
- 110 白龍仁『純金商法殺人事件』と木村久『豊田商事の正体』
- 111 スウェーデンボルグ『天界と地獄』と静思社
- 112 椎名其二と円本
- 113 椎名其二と『パリの日本料理店』
- 114 ラクロワ『出世をしない秘訣』と理論社
- 115 バートルビーとB・トレイヴン
- 116 明治二十年代の出版流通
- 117 愚書悪書の兎屋と望月誠
- 118 三省堂『ウェブスター氏新刊大辞典和訳字彙』と教科書流通ルート
- 119 『総長賭博』と『日本国勢図会』上
- 120 『総長賭博』と『日本国勢図会』下
- 121 翻訳者、編集者としての佐々木孝丸
- 122 渡辺武信『ヒーローの夢と死』
- 123 佐藤忠男『長谷川伸論』と『苦労人の文学』
- 124 斎藤龍鳳『なにが粋かよ』
- 125 幻燈社『遊侠一匹』
- 126 読物雑誌『丸』と三一新書
- 127 寺山修司編『ハイティーン詩集』
- 128 三一書房の「高校生新書」
- 129 『話の特集』と近映文庫『脱いだスター女優284人』
- 130 デアゴスティーニ・ジャパンの『十兵衛暗殺剣』
- 131 ミシェル・レリス『黒人アフリカの美術』
- 132 ジョルジュ・バタイユ『ラスコーの壁画』
- 133 クルツィウス『ヨーロッパ文学とラテン中世』
- 134 ウイリアム・レイン『エジプトの生活』
- 135 桃源社「世界異端の文学」とシェーアバルト『小遊星物語』
- 136 フックス『風俗の歴史』
- 137 河出書房「人間の文学」
- 138 集英社版『世界文学全集』
- 139 江藤淳『なつかしい本の話』と『江藤淳著作集』
- 140 江藤淳『漱石とアーサー王伝説』と『漾虚集』
- 141 せりか書房と久保覚
- 142 バフチーン『フランソワ・ラブレーの作品と中世・ルネッサンスの民衆文化』
- 143 バフチン、エリアーデ、冬樹社
- 144 冬樹社と磯田光一『殉教の美学』
- 145 『カイエ』と小野好恵
- 146 倶楽部雑誌、細野孝二郎、竹下一郎
- 147 『アメリカ雑誌全カタログ』、加賀山弘、『par AVION』
- 148 冬樹社版『GS[たのしい知識]』
- 149 吉本隆明『共同幻想論』と山口昌男『人類学的思考』
- 150 学藝書林『全集・現代文学の発見』と八木岡英治
- 151 『全集・現代世界文学の発見』と『ドキュメント日本人』
- 152 蓮實重彦『批評あるいは仮死の祭典』
- 153 四方田犬彦『先生とわたし』と由良君美
- 154 緑書房と『文化のモザイック』
- 155 牧神社と菅原孝雄『本の透視図』
- 156 『金子國義・富士見ロマン文庫コレクシォン』とペヨトル工房
- 157 七月堂と木村栄治
- 158 由良君美ゼミと『地球ロマン』
- 159 絃映社と三崎書房
- 160 由良哲次『民族国家と世界観』
- 161 一九五〇年代の新書ブーム
- 162 春秋社「現代の発見」
- 163 三世社と『実話雑誌』
- 164 藤沢周平と『読切劇場』
- 165 藤沢周平、『海坂』、相生垣瓜人
- 166 柴田錬三郎『眠狂四郎無頼控』
- 167 坂口安吾・高木彬光『樹のごときもの歩く』
- 168 昭和三十年代の新潮社の時代小説
- 169 島原の乱と村上元三『天の火柱』
- 170 倉田啓明譎けっ作集『稚児殺し』
- 171 半世紀前に観た映画『濡れた本能』
- 172 講談社の映画原作本
- 173 竹内道之助『わが生』
- 174 村上一郎と平凡社『綴方風土記』
- 175 吉増剛造と『世界名詩集大成』
- 176 牧野書店と鮎川信夫『現代詩作法』
- 177 白倉敬彦とエディション・エパーヴ
- 178 中央公論社『日本絵巻大成』とパノフスキー『イコノロジー研究』
- 179 井伏鱒二『川釣り』と『座頭市物語』
- 180 大崎紀夫『ぶらり釣り行』と『アサヒグラフ』
- 181 同潤会アパートと浅沼稲次郎
- 182 現代思潮社「古典文庫」とミシュレ『魔女』
- 183 ミシュレをめぐって
- 184 岩崎徹太と岩崎書店
- 185 酣燈社と木下半治 『現代ナショナリズム辞典』
- 186 大澤正道と『現代人の思想』
- 187 太平出版社と崔容徳、梶井純
- 188 ウィルヘルム・ライヒについて
- 189 京都共生閣と『フロイド主義と弁証法的唯物論』
- 190 一九〇六年の『ゾラ全集』
- 191 松原一枝『文士の私生活』と島尾敏雄
- 192 矢山哲治と松原一枝『お前よ美しくあれと声がする』
- 193 ジョイス『フィネガン徹夜祭』と都市出版社
- 194 宮崎修二朗と柳田国男『故郷七十年』
- 195 柳田国男と『真名本曽我物語』
- 196 柳田国男『秋風帖』と梓書房
- 197 垂水書房と天野亮
- 198 東京美術倶楽部の『もくろく』
- 199 松本清張『神々の乱心』と『宮中儀式略』
- 200 清水俊二と多忠龍『雅楽』