1967年12月、創文社から刊行された角田清文の第3詩集。
『イミタチオクリステ』とは、この詩集におさめられた作品の大半が主イエス・キリストにかかわっているからではない。論理と詩、批評家と巫女、現代詩と伝統詩(短歌俳句)、日本とヨーロッパ。これらの〈と〉に私が磔られているゆえに『イミタチオクリステ』なのである。もちろん、これらの〈と〉は、しあわせな諧和の〈と〉ではなく、クルスに磔られたぶざまな死にざま、つまり、死のひとつのあり方なのである。文法的にいうならば、これらの〈と〉は、格(接続)助詞の〈と〉ではなく、断定の助動詞〈たり〉の連用形とみなさるべきものである。〈たり〉とは〈とあり〉の約言であり、存在に還元され、存在の一様相をなすものである。この一様相とは、ぶざまさ(死のひとつのありよう)にほかならない。
(「あとがき」より)
目次
- 死体工法
- 現存
- 秋の歎き
- 踏絵
- 破壁
- 対極
- 〈ある〉の文法
- ハレルヤ
- ペルソナ
- A+B=B+A
- 記号への転身
- 〈ね〉の女
- ショールの女
- えにしの詩法
- しるし
- ひとつの石
あとがき