1954年9月、現代詩研究所から刊行された梅本育子(1930~)の第1詩集。著者は東京生まれ。
私の詩のつばさが、なめらかなとなつて、あなたの海へ漕ぎ出すことが出来たら、なんと嬉しいことだろう。幾条かの縞となって、私の上へおりてくる光と、美しいイメージの調和の中に、私の詩の生命もある。幻に見るあなたとともに、これらの詩を書いてきた。今日、この詩集が私の手をはなれていく時、あなたもまた私から飛び立ってゆくであろう。清潔なナプキンの風と共に、あなたは、舞台装置の空を飛行するであろう。
一九五〇年にはじめて女詩人会に入り、岡村須磨子さん壺田花子さん、中村千尾さんにおめにかかった時が、私の詩の出発の時であった。これには、極く最近までの作品の中から二十一篇をえらんだ。頁を追って以前の作品になつている。<幻を持てる人>は、枚数が多いのであとに加えた。
(「あとがき」より)
目次
- 受精
- 碧い草
- 風と物象
- 絵画抄
- 白痴
- 黄ばんだ季節
- 島
- 噴水
- シヤンソン風な悲しみ
- ハンカチーフ
- 月の底に
- 追憶者
- 週末の囘想
- 聖夜
- 私の愛するもの
- 花
- 花粉の家
- 魚の構図
- 夜の影
- 雨
- 幻を持てる人
跋 長田恒雄
あとがき
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