2012年12月、花神社から刊行された秋吉康(1945~)の詩集。著者は旧満州奉天市生まれ、刊行時の住所は山口市。
本集を編みつつ、幾度となく思い浮かんだのは、「幽明遥けく隔つとも……」という小説『野菊の墓』の最終行であった。このつたない詩群のなかに、虚実織りなし登場するひとびととの思い出は、時系列なしに胸中に常在する。その意味で、あえて初出一覧は付さないこととした。
この度の上梓にあたり、亡き詩友大佛文乃とのご縁で小柳玲子氏には懇篤なご助言を、花神社大久保憲一氏には貴重なご指摘を多々頂いた。記して感謝申し上げたい。
(「あとがき」より)
目次
Ⅰ
- 来てはいけない
- 日めくり
- 円
- りぼんストアまで
- 昼の月
- 冬の日曜日
- 夜
- ビーチボールの鯨
- 垂垂
- 細長い紙の
- 夕陽
- 兄
- 弟
- 紙
Ⅱ
あとがき