1991年9月、現代詩工房から刊行された木全功子の詩集。著者は松本市生まれ、刊行時の住所は春日部市。
私の人生も午後にさしかかり、さびしいと思うようになった。暮れなずむ夏空のように、長寿であった両親が相次いで落日をむかえ、私の帰る場所はもうない。父から丈夫なからだを、母からは何事もあきらめない心をもらった。
お酒のすきだった父のために近ごろ水割りなどたしなみ、温泉のすきだった母のために、はやりの入浴剤をあれこれと用意して愛用している。
もしもあの世というものがあれば、父は自分の手で家や家具を手作りし、母は花や木を育て、二人で楽しくやっていることと思う。
この詩集を作るにあたり、御指導いただいた秋谷豊先生、制作をお引き受け下さった斎藤庸一様、詩の教室でお世話下さった詩友のみな様に心からお礼を申し上げます。
(「あとがき」より)
目次
1
- 早春のランプ
- 水の世界
- 幼鳥
- 外灯
- かに
- 生息
- 蝗
- 草原
- 海
- 国道で
- 午後の坂道
- 胎児
2
- 葦原
- 戦火
- 義足
- 夏草
- 古い家
- 叫び
- ままごと
- 祖母の手
- ぽっくりと
- はるぜみ
- とんび
- カタカタの名
あとがき