1996年8月、砂子屋書房から刊行された菊池正の第19詩集。著者は岩手県生まれ、刊行時の住所は横浜市港北区仲手原。
ここ数年、私は新しく詩集を編むことに躊躇を感じてきた。それが私にとってどういう意義があるのかという疑念を、ぬぐい去ることが出来なかったからである。
本月十七日に、昭和十年代からの詩友大木実氏が逝った。考えてみれば、師事した高村光太郎先生は鬼籍に入られて多年を経たことであり、又詩を通して深く友情を共にした木下夕爾氏も今は亡く、親しい交誼を得た野長瀬正夫氏も既に幽明を異にして、ただ私だけがむなしくとり残されたという思いが胸中をつくのである。
大木氏の訃報を聞くと、不思議にも最後になるであろう詩集を刊してみようという気持ちになった。私とてもう余年は殆どない。せめてこれらの作品を、遺しておきたいと念ずるが故にであろうか。
平成八年四月
(「あとがき」より)
目次
・残照
- 終着駅
- 生きる
- 遠い茜
- 雪
- 風の道
- 冬の旅
- 暦日
・凍雲
- 老犬
- 風炎
- 裏窓
- 暮齡
- 黄落
- 風
- 生の子午線
- 交差点
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