2017年9月、書肆山田から刊行された藤本真理子(1947~)の第8詩集。装幀は亜令。
目次
- きのうの渡り鳥が
- 夕映えに
- 翼をたたんだのは
- 人買いの手かや
- 七つの惑星から
- 優曇華や
- きょうの綻びから
- 鵲の
- アシの笛から
- 砕かれし
- 沢――
- 白妙の鵠
- わたくしの心音の
- ひとひらの符を
- 打ち直された地が
- アウローラ
- 裏撮りされて
- 言葉なき
- マドレーヌ死に
- (あきらめ)という
- 暗き裸の
- シーツに包まれると
- 帆柱もなき笹舟の
- いつの世のひとの
- 古事記灯
- あの橋を渡っても
- プシュケーの見えざる
- 川を流れて
- 隠国に眠れる
- 山王と栄生の間に
- 億年を凍り
- 幾重もの影が
- 天網に絡め取られ
- 波に乗り
- 吉野より峰に
- 古い葬祭場だけを
- 名を呼ばれ
- 微かな揺れも
- 月の宿
- サクラもクニも
- 一言の片言
- 心電図が海図と
- 黒犬の肉球
- あれから何代
- 鬼の木を
- 階段のない
- 銀河越え
- ト音記号の形に
- 湯花とも
- 名を問いかねて
- 大荒れ地野菊の
- ちか子です
- 山震え
- 飼い殺しにしては
- 声を織る
- 冑の下よりも
- 一碗の雪に
- まるまっている
- 白百合の君
- 夢のなかでしか
- 蓴菜の
- 化けの皮も
- スサノオの犬を
- 水玉模様になりたかった
- 歩まねど
- 針山を越えると
- 晩秋の
- 今が、
- さわさわとレダ