1973年6月、思潮社から刊行された三木卓(1935~)の第3詩集。装幀は広瀬郁。
この詩集におさめられている作品は一九六九年後半から一九七二年の間に晝かれた。約三年半にわたる期間の分である。わたしは三十四才から三十七才となった。『東京午前三時』『わがキディーランド』に次ぐ第三詩集である。
晦冥とでもいったらいいような中に何時もいて、一行書きとめると、もうすこし見えるかもしれない、と思った。言葉を使って四散しているものを綴りあわす。そのための糸になるような光こそが、欲しかった。そのたびにうまくいかないで、再び闇に呑まれてしまう。それで次の表現の仕事がはじまることができるのでもあろう。しかし、いつもうまくいかないのに、何故か、言葉に頼るようにして生きている。(「あとがき」より)
目次
- 子宮
- めぐる夜に
- 地上にいて
- 夕方 わたしが
- 部屋
- 声
- 水族館にて
- 会う
- 樽の意見
- 動物園にて
- 環に沿って
- うずくまって
- 日没を望む
- 第一日
- 幻の野
- 夢
- 火の秤
- 農夫
- 馬
- 午後の詩
- 気分上々
- 隕石の夜
- 風景
- 夏の終りの夜の詩
あとがき