2000年9月、漉林書房から刊行された坂井信夫の長篇詩。
ある日、書店でぱらぱらと見ていた画集のなかにアルノルト・ベックリンの『死の島』があった――いや、出くわした。そのときなぜか「これだ!」と思った。むろん、これは詩作のきっかけにしかすぎない。だが、そのころから体調が急激にわるくなり、それから二年のあいだ、〈無気力症〉を患った。この一冊は、いわば奈落からの報告である。
なお、《》に引用したのは、すべてパスカル・キニャール『音楽への憎しみ」(高橋啓訳・青土社)によった。
(「あとがき」より)