1973年6月、詩学社から刊行された武田隆子の詩集。絵は武田敦史、函絵はたけだとしこ、装幀はワシオ・トシヒコ。
わたしは、とくに「流氷」という作品を好む。その想像力の複雑な屈折や、多彩な起伏に先ずおどろいた。そして彼女の温雅な人柄のどこに、こんなにはげしいエスプリが潜んでいたのかと、いぶかってもみた。
しかしわたしは、彼女の天分と執念とにつらぬかれた、あの長い長い詩のキャリアについて、深い思いに沈んだのである。
(「序/村野四郎」より)
目次
序 村野四郎
五月の晴れた日
傷
眼
流氷
冬の思想
白鳥
シラルトロで
谷地
雪原
仔馬をつれて
鬼は来ず
風荒ぶいま
熊笹の墓
自戒
流れ