2008年9月、澪標(みおつくし)から刊行された高階杞一(1951~)の第12詩集
子供の頃に歩いた雲の映る道からずいぶんと遠くまで来ました。
振り返っては、悔いと羞恥ばかりがあふれてきます。もう一度あの時に戻ってやり直せたら、と思うことが次々とよみがえってきます。
本書に収めた作品は、どれもそんなどうしようもない悔いが源泉となっているように思えます。湧いてくるさまざまな思いに立ち止まっては、ジェルソミーナのように誰かに問いかけたくなったりします。
「この石がどんな役に立ってるの?」
「それは僕には分からない。神様が知っている」(「あとがき」より)
目次
Ⅰ金魚の昼寝
- 電球
- 柳
- 茄子
- 絆創膏
- 塩
- 夜とジャコと足
- 漬け物
- 金魚の昼寝
Ⅱ夜になると僕は
- 文字の夢
- 夜になると僕は
- 夜の固まり
- 天麩羅
- 魚の目
- 余計な仕事
- 行水
- 夜の足
Ⅲ春と骨
- 天穹
- 遊園地にて
- 春と骨
- いっしょだよ
- 返事
- 靴下
- 誕生日
- 夏葬
Ⅳ雲の映る道
- 冬のライオン
- 夕日とアンデルセン
- 日曜日、夕焼けを見た
- 初夏
- 新世界
- 春と牛
- 雲の映る道
- 春の港
書評