1997年7月、筑摩書房から刊行された荒川洋治(1949~)の第15詩集。第28回高見順賞受賞。
渡世とは、辞書によると世の中を渡る、生きていくという意味です。ほんとうのところどう生きたらいいのか。ちいさなこと、おおきめのことと、ぼくもまたいつも悩んでいます。一日一時が選択の連続。笑顔はそのたびに小さくなります。
この詩集では、ぶかっこうでも、粗雑でも、自分自身の見方を示すようにしました。舗装されていない場所では、ころんだりもしていますが、詩の言葉には自由があり、そのあたたかみを知ることにもなりました。またたしかに、いまは人に向けて、冷たい風が吹いているのだとも感じました。(「あとがき」より)
目次
- 雀の毛布
- 渡世
- 「空」と「恥」
- VのK点
- くろまめ・めのたま
- 昨日の服
- パラの風
- ほおずき
- 王
- 赤くなるまで
- 坂
- 朝食の朝
- 最終案内
- ステンレスの裏山
- 坂東