1985年9月、茗渓堂から刊行された雨宮淳三(1924~2001)の詩集。扉版画は川上澄生。著者は宇都宮生まれ、刊行時の職業は鹿児島大学教授。
目次
・流氷
- 肌寒しゃろ火山礫の高原は
- ゆがんだ柏の木がゆれている
- もう幾度窓ガラスをふいたことなのか
- 潮風に 灰暗の雲が連って
- 測候所の三角旗は
- ゆるい丘がからだ全体を太陽にむけ
- 今日はなんと明るい日ざしなのだろう
・転姿
- さるのおがせの舞い
- 遙かなる山路
- ポドゾルの丘
- あの島は見えないのか
- 氷の花々
- こぶるえて 立ちすくめる
- あの頂で
- 霧よ憩えよ
・魅惑
- 港で
- あの人は海を渡らないのだろうか
- 銀杏があらんかぎりに黄ばもうとも
- 私はわからないのです
- ひざまずき すくいとる
- 一時(ひととき) 石ころの山路(やまみち)をくだりて
・非情
- 夏よ 緑ひたたって
- 乾いた風は 展望茶屋の赤旗をやぶり
- 荒れはてた熔岩の中に
・山のスケッチ
- ある湖
- いずれ わびしい嵐の夜
- 山の休日
- 五彩の結晶
- おまえだけが
- 風の吹かない山頂は
- 南の尾根はやわらかな草に
・棕梠
- 棕梠の木蔭
- 星をくらえ
- ひからびた梨をかじって
- 南のはての突出した岩漿にねころんで
- 火口湖は
- もういい北国の友よ