2024年7月、編集工房ノアから刊行された大西美千代の第8詩集。刊行時の著者の住所は愛知県長久手市。
地球の歴史、人類の歴史、そして日本の歴史からみれば、ここ数十年のことなど大海のほんの一滴の時間であると知っていながら、このほんの一滴の時間が私自身の一生でもあり。
災害や戦争、AIの急激な発展、怒濤のように変化していくこの時代を生き、地球のこともこの国のことも、私自身のことも「もはや」としか思えなくなった。
歴史を振り返れば、いつの時代にも戦争はあり、災害もあり、飢えに苦しむ人々がいた。それでも人々は幸せな時間を刻んできた、刻んできたはずだと思う。
まだ間に合うかもしれない。あるいはまだまだ時間はこのようにして続くのかもしれない。けれどひとりの人間の持ち時間は限られている。それを見届けるのは次の世代、そのまた次の世代に委ねるしかない。
人類が未来永劫幸福に続いていくことを願って。
(「あとがきにかえて」より)
目次
- トンネル
- どんぐり
- もはや。
- 泣けない
- 眠れない夜
- 二十二歳
- 十二歳
- 老小説家の夢
- 満月
- 冬の旅人
- それ
- その件
- 夏の終わりに
- 秋
- 駅
- 犯罪博物館
- 晚夏
- 家
- シャッター街の春
- 世古鳥獣店のある町
- 東南角部屋
- 冬の夜
- あいさつ
- 十月三日
- とんぼ
- 波立海岸
- 夜明け
- 東海道本線
あとがきにかえて
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