2011年7月、思潮社から刊行された近藤洋太(1949~)の第7詩集。装幀は佐々木陽介と山田裕里。
『筑紫恋し』は、公刊する詩集としては十一年ぶりである。「筑紫恋し」は母が亡くなった二〇〇八年に、「たそかれ」はそれ以前に、「カフカの職場」以降の作品は会社を退職した二〇一〇年に書いた。「たそかれ」、「筑紫恋し」、「カフカの職場」、「退職の朝」の四篇は「歴程」に発表、その他は未発表である。
原稿はすべてこのたびの震災前に渡したので、当然のことながら地震、津波、被曝について触れることができなかった。震災を期に、わが国は予断を許さない方向へ大きくゆっくりと変転してゆくだろう。私はこの変転に目を見開いていようと思う。今後、どのような書き方になるか分からないが、この現実に詩と批評の言葉を届かせたいと願っている。
(「覚書」より)
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