1978年11月、青磁社から刊行された真壁仁(1907~1984)の第5詩集。装幀はヒロ・カオリ。
前半は若い女性の多い銀行の行内誌に、後半は新聞の家庭欄に、一九七三年から七六年にわたって書いたもの。どちらも写真つきで発表された。その写真も、前半は事前に送られてきたし、後半は詩を書いたあとでつけられた。
たとえば「白い季節」という詩があるが届けられた写真には、まだふくらみと厚みを持った残雪が写っており、それは下の方から溶けはじめている。水たまりがあって、そこには晩冬の日射しがきらめいている。雪のかたまりは、大きく羽をひろげた白鳥である。
(「あとがき」より)
目次
I
- 目ざめ
- 夜の塔
- 白い季節
- 花々は……
- 廃墟
- 蝶となって
- 失意と雲
- 山村紀行
- 山の旅
- 寓話の海
- 火の山
Ⅱ
- さいかちの実が散るように
- 即身仏
- 墓
- 一九七五年・忍草
- 心を買いに
- 鎮魂
- 寓話の村
- 母よ
- 幻の旅びと
- 神はついに……
- 蕪の道
- 子別れ
- 自分に別れをのべるひまもなく……
あとがき