1959年9月、国文社から刊行された片岡文雄(1933~2014)の第2詩集。装幀は笹岡信彦。ピポー叢書60。
ここに詩集「夜の馬」としてまとめたのは、一昨年の詩集『帰巣』以後に書いたもので「狼」「地球」「葡萄」「詩学」「現代詩」「漕役囚」その他の詩誌に発表したものと、二・三の未発表のものよりなっています。また発表したものでも改題し、発表当時の内客そのままでないのもあります。
第一詩集「帰巣」で得た声を整理してみると、詩という表現形態がどうしてもとられなければならなかったという詩の典型的なスタイルが生まれていなくて、いわゆる散文形態によってでも取り組めるような主題のとりあげかたが見られるということであり、否定的な評価の場合、そのことが必ずといっていい程、指摘されていました。この「夜の馬」にまとめたものはすべてそれに応えるべきものを持たなければならない訳ですが、要求は満足されてはいないようです。
ここにまとめたものはすべてこの土地で書いたものばかりで、すべてが東京で書かれた「帰巣」の場合と比較してみるとき、ぼくをとりまく世界を見ること、あるいはその世界によって形成されるぼく自身の認識には、ぼくなりにちがったものがあるとおもうのです。そのことが特徴であるといえば特徴といえるかも知れません。
(「あとがき」より)
目次
・小さな汽車
- 汽車
- 夜の旅から
- 駅
- さよなら
- 夜の馬
- 夜へ
・夜の馬
- 眠る
- とおい男
・島へ
- 真夏の死
- 島へ
- 島をめぐる断章
- ひとつの矢
- 海を飛ぶカラス
- 人間の羊たち
・南方手帖
あとがき