1977年1月、書肆季節社から刊行された鈴木漠(1936~)の第5詩集。装幀は政田岑生。
ここに「風景論」を僭称する一巻は、一九七三年刊行の詩集『二重母音」に続くおよそ三年間の作物のなかから編まれた、わたしの五冊目の詩集です。
「見る」ことに執し、かつ努めましたが、眼から語への、そして言語からふたたび視覚への転換の不可能性、つまりは詩そのものの至難さに、ほとんどうちひしがれる思いのみを重ねてしまいました。
同じ時期に並行して書きついだ、他の主題によるものは、第六詩集『火』として独立させる筈で、この『風景論』と併せて、季節社社主政田岑生氏のご好意に委ねました。ともすれば懈怠心のきざすわたしを督励してくださった、各誌の編集者のかたがたとともに、記して深甚の謝意を述べる次第です。
(「あとがき」より)
目次
・風景
- 眺め
- 箱のある風景
- 筒のある風景
- 縄のある風景
- 風景のなかの人体図
- 門
- 庭のある風景
- Landscapes
- Ⅰ階段のある
- Ⅱ窓のある
- Ⅲ樹木のある
- Ⅳ道のある
- Ⅴ橋のある
- Ⅵ椅子のある
- Ⅶ水滴のある
・肖像
- 舟と「私」
- 室内旅行
- 小さい花たちの肖像
- 鳥
- 魚の肖像
- 自刻像
あとがき