1951年8月、日本未来派発行所から刊行された和泉克雄(1916~2010)の詩集。
詩集「練習曲」は一九三七年、私の二十一歳の時の作品である。この詩集も先に發表した「小序曲」「幻想曲」「前奏曲」「小組曲」「銷魂曲」と共に一九四八年一部の訂正が行われるまで全く放置されていた。詩集「練習曲」の原形は、詩六十篇、素描十二篇、作曲十二篇であったが、十餘年の年月が失うものを失わしめた。しかしここに殘された作品第一番の全部も失って惜しまれるものではなかったかも知れない。その頃は、魚類とアルチュウル・ランボオ、プロコフィエフとアポリネエル、二人のミロオとポオル・エリュアアルがたまらなく好きであったことが想い出される。(「ノオト」より)
目次
1
- 古風な天氣
- 透明人魚
- 秒速舞曲
- 夢の行方
- 滴のない雨
- 笑う鏡
- こびとと舞姫
- 紫外線
- レンズの祕密
- 左右
- 青のアルバム
- 失われた鍵
2
3
- 水族館
- Ⅰ
- Ⅱ
- Ⅲ
4
- 天使魚(スカラレ)の戀の歌
- 極樂魚(パラダイスフィッシュ)の失樂歌
- 木登魚(アナバス)の族情歌
- 原鰭魚(プロトプテルス)の睡眠歌
- 菫鬪魚(ベツタ)の戰さ歌
- 青月魚(ブリュウムウン)の夜の歌
- 赤月魚(レツドムウン)の夢の歌
- 騎士魚(ソホドデイル)の劍舞歌
- 銀縞魚(ゼブラダニオ)の紡ぎ歌
- 紅玉魚(グツピイ)の杼情歌
- 眞珠魚(マウスプリイダア)の子守歌
- 戀泣魚(ナキグラミ)の相聞歌
5
- 雨夜の星夜
- 臨終飛行
- 純粹な過失
- 彈力の單純骨傷
- 脱臼した孤獨
- 愛された結核菌
- 眠るために
- 嬰兒のように
- 腐骨症(カリエス)の夜曲(ノクチユルヌ)
- 痛風性の送葬曲
- 幽靈調の船歌(バルカロオル)
- 選ばれた墓碑銘
ノオト