2011年11月、毎日新聞社から刊行された辺見庸(1944~)の第2詩集。第42回高見順賞受賞作品。
目次
Ⅰ眼の海
- 水のなかから水のなかへ
- ささげる花
- 眼のおくの海――きたるべきことば
- どれかひとつだけ教えてほしい
- ナイフ探して海の底へ
- 水―声―反照
- 水の階段
- こうして水中都市はできた
- おまえはもう骨の唖者になれ
- 赤い入江
- 死者にことばをあてがえ
- 眼球
- 前夜
- 髪焼く
- 赤い罌粟
- 眼の海
- 水のなかのひとの森
- 鏡を見ていただけ
- 還魂クラゲ
- わたしは夜あなたの背に薬をぬる
- 珊瑚樹のいけがきをあるいて
- あの破壊は他からの暴力だろうか
- 常の壁
- 夜の岩棚の首たち
- それは似ていた
- わたしはあなたの左の小指をさがしている
- 眼の化野
Ⅱフィズィマリウラ
- 花間
- 屠場の月
- ある日、乳色の半透明膜に世界がうすれて
- みぎわを暮れがた音なくすべっていくもの
- 村の宵
- 満月
- 鏡のにおいがした、血の
- NPO法人「伴狂監視協会」理事長Gの見た夕焼け
- とっつきの空き部屋で爪を噛み爪をそいだ
- 電動こけし
- オポテュニストたちの声門音
- それらの骨のなかにある骨
- ヒキョウバナの歌
- 海を泳ぐ蒼い牛
- ヒトヨタケ Coprinopsis atramentarius の歌
- プール
- 生きぬいた蛇の径をはう
- 牛の第一胃へと落ちる流星
- アラビア海から流れついたウサーマ・ビン・ラーディン(أسامة بن محمد بن عوض بن لادن)こと ウサーマ・ビン・ムハンマド・ビン・アワド・ビン・ラーディン(أسامة بن محمد بن عوض بن لادن)の美しい顔
- 回向院の因業坊主
- 夜ふけの関越を走るタクシーとおんなの運転手
- 腹話術師の青い花
- 行方
- フィズィマリウラ