1996年4月、小学館から刊行されたアンソロジー。初出は「週刊ポスト」連載(1992~1994)。編著者は井坂洋子、入沢康夫、平出隆、三木卓。装画は後藤えみこ、装幀は菊地信義。♠は入沢康夫、♣は三木卓、♥は井坂洋子、◆は平出隆の執筆。
目次
- 失恋 ねじめ正――魂の探査衛星♠
- ポルノ・バッハ 谷川俊太郎――調和と禁忌♣
- 黄色い夜 白石かずこ――シャーマンの素足♥
- 燃えるモーツァルトの手を 吉増剛造――音響的宇宙へ◆
- 闇の力 北村太郎――目の”現在”♥
- 猫の休日 平田俊子――「稼ぐ」ことの残酷さ♠
- レイモンド・カーヴァーを読みながら 辻征夫――自尊心とユーモア♣
- ある老人 飯島耕一――島の時間◆
- 童謡 石垣りん――《くらし》のなかの深淵♠
- 資質をあらわに 荒川洋治――「俗」に入る姿♥
- ウサギの罠/死んだネズミ 関根弘――無邪気と残酷の結合♣
- さいころ病院 天沢退二郎――夢と死と◆
- みな響あり 渋沢孝輔――風狂心の精髄♣
- いやさかさかさかさのさのさ 伊藤比呂美――生の讃歌♣
- 夜の台所で情を抒べるとすれば 清水哲男――狂気と正気♥
- 鳥籠売りジョンの唄 高橋睦郎――誉めうたの魔法◆
- はる なつ あき ふゆ 大岡信――開かれた心の成果♣
- 橇 粒来哲蔵――散文詩の栄光♠
- 歳晩散策 那珂太郎――息づく無の空間♥
- 素速い雲 川田絢音――聖画のエロティスム◆
- 緑濃い峠の/小景 吉野弘――発見する♣
- ことばの冠 牟礼慶子――ことばを超える沈黙♥
- 冬休み 田村隆一――物の光り・物のリズム◆
- 朝焼け 三好豊一郎――澄み切った孤立♠
- 野火/* 嵯峨信之――魂のプラネタリウム♣
- 柳の著 森原智子――薄明の旅♥
- われらを生かしめる者はどこか 稲川方人――禁じられた帰郷◆
- 夜のゴックスヴィレール/ストラスブールの小さな船着場で 長谷川龍生――ものを見据える力♠
- 象/たんぽぽ 川崎洋――大きな肯定♣
- 路上 新川和江――母系の鎖♥
- しめやかな潮騒 中村稔――理知と含羞◆
- 子供の領分 多田智満子――想像と思弁♠
- 第一課 安西均――続いていく成熟♣
- 日原鍾乳洞の「地獄谷」へ降りていく 氷見敦子――深く内部に降りて♥
- 妻の奇癖 清岡卓行――造型のアクロバット◆
- 死者の笑い 安藤元雄―見事な「挨拶」♠
- 売春処女プアプアが家庭的アイウエオを行う 鈴木志郎康――処女の起爆力♣
- 月の人 阿部石夫――妄想の鋲♥
- 儀式 吉原幸子――受苦の輝き♣
- 聖家族 正津勉――露悪と純情◆
- もぐらの歯 小長谷清実――おとなしい凶器♣
- 蘭らんらん 瀬尾育生――詩そのものの寓意♠
- 敵ニ殺サレタ若者ノ祈り 宗左近――火を背中に負って♥
- 黄金の川/嶋立つ川 岡田隆彦――影と黄金◆
- とほうもない望み 木島始―愛・うた・言葉♥
- 冥王星で 小野十三郎――異郷を見る目♣
- 居酒屋にて 茨木のり子――快い叱咤♥
- わかれのかた/枝 江代充――純粋者の問いと祈り◆
- おどる緋鯉 財部鳥子―ノスタルジーを超えて
- 独楽/鏡/手は/蔓草 高野喜久雄――さまざまな力学♣
- あけがたにくる人よ 永瀬清子――詩の香気♥
- 勇気 天野忠――力をあわせて◆
- 出航 北川透――呼びあう詩魂♠
- 新鮮で苦しみおおい日々 堀川正美――時代より深い言葉♣
- ぼくはこの世界と取引している 福間健二――パスワードとともに♥
- 中腰の女 建畠晢――「枠」を破る◆
- 四行詩の道草(抄) 高橋順子――非凡な「何げなさ」♠
- 感情的な頭 岩田宏―戦後の都市青春の心情♣
- プール 小池昌代――きもちの水♥
- 烏賊 窪田般彌――深海の夜へ◆
- ひとひらの月 ひとひらの愛 諏訪優――生きてある切なさ♠
- あかちゃん/とおいところ/よるのみち まど・みちお――やさしさとふかさ♣
- 夜まわり 片岡文雄――父を求めて♥
- モンシロチョウ夏型 伊藤聚――世界の終りのフィルム◆
- ハンプティに語りかける言葉についての思いめぐらし 金井美恵子――詩神への鮮やかな挑発♠
- 海の部屋 高良留美子――詩人の心♣
- 週一回のリハビリテーション 白石公子――現代というフィルター♥
- パンダ来るな 藤井真和――破れかぶれと痛切◆
- 幻花 粕谷栄市――生きるという悪夢
- ブ/ふと 藤富保男――愉快な詩人♣
- もうだれもいないのに/ある会話 吉行理恵――風の詩人♥
- 炉のような人 辻井喬――白熱するもの◆
- 商人 谷川雁――硬質の比喩と情動力♠
- 夜 富岡多恵子――感情のアラベスク♣
- 生きている貝 鈴木ユリイカ――愛の詩人♥
- 鳥の骨組みに関する覚書・同補足 岩成達也――《なまなましいもの》◆
- 塔老人 鶴岡晨――新造語の奇妙な魅力♠
- 購野 新藤涼子――薔薇の詩人♣
- 風 金時鐘――風のはざま◆
- 祝祭 中本道代――廃屋から♥
- (電車は) 八木忠栄――「日常」の深い暗い酔い♠
- 青 江森國友――肯定の詩人♣
- 時間 関口篤――万物流転◆
- 人質/家の崩潰 大野新――生の人質♥
- 雨の段々畑 佐々木幹郎――みずみずしい「熟成」♠
- 『生』 中江俊夫――回路を求めて♣
- 石工 鈴木漠――石工と詩人◆
- 記憶 小松弘愛――老いを見つめて♥
- 樹木開花 安東次男――「語りえないもの」の造形♠
- 隣に現われたもの 犬塚堯――苛酷な時代の詩♣
- 佃渡しで 吉本隆明――情感のマチエール◆
- くだもののにおいのする日 松井啓子――謎かけの名人♥
- 地名 安水稔和――地霊との劇的な呼び交わし♠
- 鳶と稲穂 加島祥造――晩年のみのり♣
- 蜜月 阿部日奈子――あざやかな語りの魔術◆
- 失明 松浦寿輝――熱い衰退♥
- 飛鳥坐神社のおんだまつり 青木はるみ――日常のなかの異界♠
- 雪道を閉ざす……朝吹亮二――無響室内の言葉◆
- 夜の船 新井豊美――豊かな調べ♥
- 筆跡 清水昶――無窮の夢への陶酔と共鳴♥
あとがき 編集委員
現代詩クロニクル1945~1995 大日方公男
詩人紹介・執筆者紹介 編集部編
収録作品データ 編集部編
本文・詩人紹介写真 星野勝成
詩人紹介写真 宮内勝
本文写真「週刊ポスト」写真部