1980年6月、書肆山田から刊行された鈴木志郎康の詩集。装画は横田稔。
この詩集に収めた詩は一九七八年十一月から一九八〇年二月までに書かれたものの中から選んだ。「室内」「なつかしい人」を除いてすべて発表された。配列の順序は書かれた順序ではない。
読み返してみると、自分では感情を割に素直に書いているように見えるが、死という言葉が方便のように使われているのが見苦しく思えた。きっと、この詩集を読まれる人もそう感じるであろう。恥かしい気もするが、方便を破るために自ら死ぬわけにも行かない。しかし、いくらかいいわけを述べれば、溺死者に微妙に反応する心が私にあることは事実だし、死という言葉に頼りたくなる気分もあることはあるのだ。詩を書くのが苦しいところにいるからなのであろう。
(「あとがき」より
目次
- 光る目蓋
- 一夜
- 焼の前
- 掌の卵
- 夕闇に追われて
- 木の芽を見る
- 夏の夜の震え
- 深夜、ばちゃばちゃと
- 雨の降る夜に
- 夜の液体
- 夜の姿
- 数度の凌辱
- 瀧と少女
- 小川の岸で
- 自分が死ぬ夢
- 室内
- なつかしい人
- 夢の重み
- わたくしの幽霊
- 草むらの迷暗