酒中記 三輪正道

f:id:bookface:20200730235104j:plain

 2005年12月、編集工房ノアから刊行された三輪正道(1955~2018)の第3著作集。装幀は粟津謙太郎。

 

 今秋で、ぼくも五十路入り、知命の歳となりました。七月に、五年の堂島勤めを終えて、近江・湖国に二度目の勤めとなったとき、あの震災から十年、生きのびたという思いもあり、いわば区切りの意味でも、書きためた中から一冊をという気になった。
 九月になり念願の初校ゲラを眺めつつ、やっぱりわが雑記、雑文の類は酒が主人公であるなァ、とあきれ気味ではあったが、まあ、これも前著につづいて酒を介在とした酒飲みの性、自分らしくていいじゃないかとも思った。初校の校正を終えても全体を表わすような適当な書名が思いつかなかった。
 十月、再校ゲラに手を入れおえても、まだタイトルが思いつかず悶々としていると、さながら啓示のごとく「酒中記」という言葉が…。前著につづいて漢字三文字、これに飛びついたしだいです。想えば、むかし中学の国語の授業に、ごえんさん(僧)の先生が、酒の飲めないぼくら生徒にむかって、語りかけるように牧水の短歌を朗読したことがあった。

 白玉の歯にしみとほる秋の夜の酒はしづかに飲むべかりけり

 ほぼ三十五年を経過し、この月初め急に冷えこんだ湖国の寮で、ひとり燗酒をしみじみと飲んで、ごえんさん先生のことを思い起こしています。
「黄色い潜水艦」「大和通信」に書いたものを主として収めた。なお、「関西文学」「BOOKISH」を始めとして、執筆の機会を与えていただいた各誌の編集の方々にお礼を申しあげます。
 編集から命名まで多々助言をいただいた涸沢純平さんには、一方ならぬお世話になり、ありがとうございました。前著にもまして身にあまる装幀をしていただいた粟津謙太郎さんに深く感謝いたします。
(「あとがき」より)

 
目次

  • 中野家のキュウリと蚕豆
  • 「五勺の酒」の縁
  • 廻りあい『古い記憶の井戸』
  • 「酒と兵隊」の俳人
  • ぐうたらの勧め――清水正徳先生追悼
  • 廣重さんへ
  • 四万十薫・松広編集長

  • 城のある町へ
  • 望景亭から美作・湯郷まで
  • 二年五カ月の眺め
  • 絶句
  • 米原駅にて
  • 「むらぎも」と南天堂☆

  • 鬱日乗
  • 仮眠室にて
  • 一九八一・TOYAMA
  • 心の淵を
  • 神戸近景
  • 花隈幕張本郷まで

あとがき

 

NDLで検索
Amazonで検索
https://www.amazon.co.jp/dp/4892716022/
日本の古本屋で検索
https://www.kosho.or.jp/products/search_list.php?search_word=%e9%85%92%e4%b8%ad%e8%a8%98%e3%80%80%e4%b8%89%e8%bc%aa%e6%ad%a3%e9%81%93
ヤフオクで検索
https://auctions.yahoo.co.jp/search/search?auccat=21600&p=%BC%F2%C3%E6%B5%AD%A1%A1%BB%B0%CE%D8%C0%B5%C6%BB&tab_ex=commerce&ei=euc-jp