2001年12月、編集工房ノアから刊行された三輪正道(1955~2018)の第2著作集。装幀は栗津謙太郎。
四十代に入ってまもなく出版の願いが叶い、望外の幸せを味わったのは一九九六年の秋だった。同人誌に書き綴ったものが一つの形ある本となり、未知だった人の目にも留まり、新たな繋がりとなり、ときには円環のような人との縁ともなった。それらが、ぼくの有形・無形の財産となり、新たな目を開かせもした。かつての「もだもだの日々」には、想いもよらぬことだった。それから五年の月日が経ち、書きためた類いが、どうやら一冊分くらいになった。
雑文の寄せ集めみたいな感もあり、初校まで仮の題で適当な書名が思い浮かばず、校正をしながら、神戸新聞へ<同人誌>評に取りあげられた「加賀温泉郷へ」の評を読みかえしていた。文中に<時空を越えて想念が飛び交う酔夢行...>なる箇所に目がとまり、「酔夢行」なる語句に、これだ、と思った。評者は播州・山崎町に在住の作家、竹内和夫さんだった。これも、かつての播州勤めの縁かと、あらためて竹内さんに感謝するしだいです。
(「あとがき」より)
目次
Ⅰ
- 北陸旅情
- 城のある町へ
- 酔夢行
- 一つの時の終わりに
Ⅱ
- 凧あげ
- まぼろし
- 天沼行
- 家庭のジジョウ
Ⅲ
Ⅳ
あとがき