1989年2月、青磁社から刊行された芝憲子(1946~)の第5詩集。著者は東京生まれ、1972年から沖縄県に転居。刊行時の住所は沖縄県那覇市久米。
しばらく詩集を出していなかったので、詩の数だけはたまっていました。自信のないものをどんどんはずしていったら、ほとんど残りがなくなりあわてました。
天皇ヒロヒトの病気と死去以来、天皇制に対する批判的な意見を言いにくい雰囲気になっていると思います。沖縄は、沖縄戦により天皇の軍隊の本質をよく見抜いてきましたし、マッカーサーに沖縄の長期占領を頼んだ”天皇メッセージ”も忘れられないので、まだ自由な方です。それでも一九八七年の海邦国体で、天皇制・日の丸・君が代問題についての議論がふっとうしたころと比べると、相当変化しています。テレビや新聞でも、世の中の変化を強く感じるこのごろです。
小林多喜二のような人ではなく、天皇の方が刑務所に入るべきだったのに、今もってなお、なんということだろう、と思います。
(「あとがき」より)
目次
- ム所の天皇
- 副葬品
- 海のシルコロード
- 缶
- 日常
- まぼろしのグラマン
- 溶ける女
- 大地と太陽
- つるす
- 追いかけた写真
- 小学校のとなり
- 三千年の泡
- やあ マヤコフスキー
- シャーウッドの森
- 子ネコ
- 新種ネコ
- 夏宇宙
- 皇居のタンポポ
- 歌えない、歌わない
- かわいそうな牛
- 夢の国体
- A級に私物化された森でも
- マスコミにあらわれない流行語
あとがき