1955年1月、アジア詩人研究会から刊行された大江満雄(1906~1991)の詩集。
一九三六年頃(昭和十一年)「機械の呼吸」を刊行することにしていたが中止しなくてはならなかった。
「乳のでない母とミルクで育った子たちに」「アディスアベバの老母」「音のない大砲」などは、アンソロシイに収録されている。
「機械」は一九四〇年(昭和十五年)刊行の山雅房版「現代詩人集」巻六「鷲篇」に収録されているが、あえてこの詩集にいれることにした。二、二六事件後の傾向を批判したいからである。
作品の多くは原詩そのままであるが、部分的に修正した。この詩集は昭和八年から十三年頃までの作品で性格づけているから、第二詩集的な詩集といえよう。「海峡」の前に出すべき詩集だということを附記しておく。
(「後記」より)
目次
- 機械の呼吸
- ぼくはまひるの夢を記録したい
- 裸体の歌を聞きたいとき
- かれらの言葉を透視したい
- いろいろな家族
- 重い涙を感じて
- 着かざった言葉の中で思う
- 赤外線
- 音のない大砲
- 古い生活のガスから
- 螺旋状に争いながら
- 菊の花
- わたしたちの音楽をもった建築を
- 母性的な夢を思う
- 涙よ結晶せよ
- 音楽
- 馬蠅の羽
- 蜘蛛の網
- 乳のでない母とミルクで育った子達に
- 牛
- アディスアベバの老母
- 雪の中で
- 獄
- 大きな山を見ながら
- 盲目の歌手との対話
- 妻
- 荒地に種播く人を思いながら
- わたしのなかに機械の呼吸がある
- 機械
後記