2016年9月、花神社から刊行された長嶋南子による女性詩人論。表紙絵はゾンネンシュターン(1892~1982)「シェーンヴェルシア」。
いつ死んでもおかしくない年ごろになった。時間が早く過ぎていくのでオロオロするばかりだ。死んだらすぐ忘れられる現代である。生きているうちが花なのだ。
皮ふを剥いで内臓をさらけ出して書かれた詩が好きだ。身を削って書かれた詩が好きだ。そういう詩に出会うとうれしくなる。どういうわけか女性に多い。女は身を飾るのが身上だけれど、そんなものを剥ぎとって書かれたものは読み手をゾクゾクさせる。私を忘れないでと詩がいっている。このように生きたのだといっている。そしていつまでも読み手のなかに生きつづけるのだった。(「あとがき」より)
目次
- 惚れて、産んで、書いて――与謝野晶子
- どうにかしてよ。――林芙美子
- ホントはもっと生きたかった――金子みすゞ
- 生真面目・気取らず・生一本――中野鈴子
- 不しあわせは蜜の味――中村千尾
- 必殺仕事人――高田敏子
- 女について――瀧口雅子
- しっかり長女――石垣りん
- 人生は傷だらけなのだ――滝勝子
- 照れるじゃないの――茨木のり子
- 伝説になって生きる――久坂葉子
- 私は野菜の肥料になろう――長澤延子
- そばにゐてよ――吉原幸子
- わたしを探してつかまえて――征矢泰子
- 詩こそ命 わが命――大佛文乃
- 永遠に青春――広津里香
- かすみを食べる――吉行理恵
- どこからきて どこへいく――相生葉留実
- ひとりきりで、荒野を――梅田智江
- 昆虫に家族はいらない――前田ちよ子
- 女という器について――氷見敦子
あとがき
参考書籍等一覧