1980年8月、花神社から刊行された塔和子の第6詩集。装画は新井豊美。
生きているという、私の生身は常にいやおうなく満干を受け止めて在らされています。
そして私は、かわいたときの痛みや満たされているときの喜びの中で、さまざまなことを考えますが、自分自身がいつも自分に見っめられる対象でありながら、表皮をひっぱがし骨の髄まで目になってもまだ見つくせない何かがいつも私を貪摯にむさぼりつづけさせています。そして、私はその箸を置くことのない貪婪な鬼のために詩を書きつづけることでしょう。
ここに収めました作品は、一九七八年に出版いたしました第五詩集『聖なるものは木』以後の作品で、詩誌「黄薔薇」「樫」「戯」「木馬」に発表いたしました作品に未発表作品を加えたものです。
(「後記」より)
目次
- 貪婪な鬼
- 渇き
- 覚醒
- へんなやつ
- 裸の私は
- 灯の下で
- 羞じらい
- いましめ
- あなたは家
- ふだんに在って
- 氷室
- 苦悩
- 鮟鱇
- 地を這うもの
- 石の寒さ
- 聞くもの
- 死のささやき
- ほてるもの
- 消える
- 等しく立って
- 余白
- 白いバラ
- マッチ
- いちま人形
- 空へ
- 食虫植物
- 私
- 光のあいだ
- 別れ
- 焚火
- 女の顔
- 王妃をひとり
- 彩
- 生命の耀よい
- 水の愛
- 画の中
- 青白い鬼
- 走る
- 二月の地面
- 水の権威
- 自然のいとなみ
- 創造
- 役割
後記