1960年5月、再現社から刊行された森本敏子(1930~)の第1詩集。装幀は藤本邦之。
一九五五年から一九五九年までの作品を第一詩集としてまとめました。昼間は勿論夜にまで雑用のもちこまれるあわたゞしい暮しの中の、わずかなきれめに書き残した作品の、これはほとんど大部分といっていゝ。これはかけがえのない時間のあらわな私の姿だから多くの人々の眼にふれることを考えると自然うつむきたくなります。
しかし、もっとよく自分をみつめるために思い切って手離すことにしました。
(「あとがき」より)
目次
序
Ⅰ
- 受胎告知
- ことば
- 扉
- 海辺にて
- 流音
- 貝がら
- 難破
Ⅱ
- 春の歌
- 花々が咲き始めると
- 春
- ねむりからさめると
- 秋
- 樫の木
- 雪
Ⅲ
- 緑
- 港
- 出港
- 秋の夜
- ブイ
- 海
- 手を振る
- 大河
- 河
- 河があるから
Ⅳ
- 書きとめようと
- 風の音
- 始まる
- 孤独
- 舟を流す
- 振り返ってはいけない
Ⅴ
- 水すましの輪
- 輪
- 白い蚊帳
- 眠い時きには
- 夜の唄
- 一本の糸
- しゃべってはいけない
あとがき