1947年8月、多磨書房から刊行された勝承夫(1902~1981)の第5詩集。著者は東京四谷生まれ。勝が作詩した童謡「小ぎつね」が「三年生の音楽」(文部省発行)に掲載されたのも1947年。
『白い馬』以後の詩のうち六十三篇を拾つてこゝに第五詩集を世に送ることにした、この間戰爭に伴ふ出版界の好況の時代もあり屢々詩集出版の機會に恵まれたが、ついに一卷とする熱意を缺いて今日に至つた。今度福島縣須賀川町に疎開し詩を十數篇新作したので勃然として新詩集を編む熱意を持つた、敗戦の厳しい現賞の中にも新しい機運の動くのを感じるからでもある。
私は、言者ではない、時代の苦悶と共にある詩人である。
(「後記」より)
目次
- 最上川河口
- 機械よ
- 濱田村
- 米
- 小豆
- 警告
- 焦燥
- 冬の仕度
- 殺人列車で
- 日
- 母のこゝろを
- 夜汽車にて
- 新春三題
- 海老
- 昆布
- 橙
- 豫感
- 静かなる炎
- 競技者
- 逞しい男
- 或る空間
- 峠
- 夕餉の卓
- 蛇
- さようなら
- 草を敷いて
- 海から来た男
- 山の友へ
- 田舍にて
- 將棋頭附近で
- 宮田小屋
- 泳ぎながら
- 嘶(いなな)く
- 芽
- 白金のペン
- 昧爽
- 原稿紙
- 通夜
- 坂道で
- 高原の拍手
- 釣の手帳から
- 曇った冬空
- 少女たち
- 高障碍
- 月の出
- 青蚊張の中より
- 齢
- 昔の馬
- 白き手のまぼろし
- 辭表
- 荒寥の日に
- 須賀川橋
- 手風琴
- 旅ごゝろ
- 柚味噌
- かへり道
- 雪夜
- よふけ
- 炬燵
- 鳩
- 義仲寺
- 石山寺
- 大和路
後記