2016年9月、花神社から刊行された小松弘愛の第13詩集。装幀は熊谷博人。
二〇〇〇年、わたしは十冊目の詩集として『「びっと」は“bit” 土佐 方言の語彙をめぐって』を出した。そして二〇〇九年、『のうがええ電車 続・土佐方言の語彙をめぐって』、二〇一二年、『ヘチとコッチ 第三集・土佐の言葉その語彙をめぐって』を出した。この間、共通語の 詩集は二〇〇三年の『銃剣は茄子の支えになって』のみであった。
というわけで、今回は一〇年を超えて書き溜めてきた共通語による詩 の中から二十五篇を取り出し、詩集『眼のない手を合わせて』の刊行と なった。この詩集名は集中の一篇「眼のない手」に拠るものである。ち なみに「眼のない手」はわたしの手であり、対して「眼のある手」は千 の慈手・慈眼をもつ千手観音の手である。何度か、唐招提寺金堂の千手 観音立像の前に立ったことが思い出される。
(「後記」より)
目次
- わたしの背後で
- 眼のない手
- 馬齢
- 人間の手
- 献歌
- ズック靴
- 記憶
- 言葉
- 贊肉
- 矮鶏
- 紫蘇
- 抛物線
- 嘘
- お花畑
- 蚕よ
- マウスピース
- 指紋
- 遮断機の前で
- 亀蔵の熟れる季節に紡ぐ物語
- 鋲
- 比喩ではなくて?
- 同人誌
- 春の山羊
- 笠女郎さんに
- つつじの花のもとで
後記