2009年11月、砂子屋書房から刊行された古谷鏡子の第5詩集。表紙石版画は清水洋子。刊行時の著者の住所は調布市。
この頃、終りのない詩を書きたいと思っている。終りがないということは、一方でどこで終わってもいいということでもある。断片のように、そしてその断片をつないで、ひとは日々を生きていると思うようになったからかもしれない。毎日が連続していると考えるのは錯覚か思いこみにすぎないのではないだろうか。この本もそんなふうに読んでいただければ幸いである。
収められた作品の大半は同人誌「六分儀」に発表されたものである。「六分儀」がなかったら、ここまで書きつづけてこられなかったろう。島朝夫をはじめとしてこのグループ諸氏に感謝している。なお表紙カヴァーは清水洋子さんの石版画集『流れるはなびら』のなかの一枚を頂戴したが、この画集自体、私の「春・雨の日に」(『声、青く青く』)からイメージを起こされたものとか。また砂子屋書房の田村氏は、私が詩の西も東もわからぬままに初めての詩集(国文社)を作ったときにお世話になった方で、多くの方々の支えがあって一冊の本ができあがったことにあらためて謝意を表する。
(「あとがき」より)
目次
- 訪問者
- 昔のはなし
- 皇帝の涙
- 窓という幻像
- 夜、虫たちが
- 空のなかへ水のなかへ
- そらの目
- そらが空からやってきた
- 水のような日々
- ものがたり
- 秋の日の
- 花の散るなかで
- 始祖鳥の棲む部屋を
- かたちあるもの・かたちのないもの
- 入らずの森へ
- アネハヅル
- 風のなかを
- 風が吹いた
- 木のみる夢
- ひかりのまち
- ふぐはなぜふくらむか、または夏の遊び
- 木を植える
- 人生の曲がりかど
- 鳥たちの季節
- 鳥たちの食卓
- 夏の庭
- 夏の日録
- 歩行訓練
- 夜のはじまり
- 夢
- 手紙を書きたくて
あとがき