2017年2月、土曜美術社出版販売から刊行された高良留美子(1932~2021)の評論集。装幀は狭山トオル。
目次
Ⅰ 女性詩人
- 石垣りん・詩にひそむ女の肉体、女の性
- 茨木のり子・日常の視点から世界へ――「生きているもの・死んでいるもの」
- 新川和江・暮らしから生まれた幻の恋のうた――「ふゆのさくら」
- 滝口雅子・異質なものに開かれた目――戦前文学の継承と変容
- 宗秋月・在日への挽歌と賛歌
Ⅱ 追悼
Ⅲ アジア、戦争、植民地支配
- ゴールの詩と日本の現代詩――生誕150年祭のために
- 鮎川信夫「サイゴンにて」からベトナム戦争へ――自由主義国家への憧れ
- 清岡卓行と『アカシヤの大連』――日本のモダニズムの精神的態度としての〈白紙還元〉(タブラ・ラーサ)
- 金時鐘詩集『新潟―─長篇詩』――死者たちさえもが語る
- こぼれ落ちてきた日本人の戦争と植民地支配経験
- 六〇年代の詩とモダニズム― 〈個〉と〈全体〉の亀裂から 1000
- 子供時代の悪の責任をどうとるか――ブレヒト 「子供の十字軍」
- 「ボヘミアン・ラプソディ殺人事件」の謎 歴史に照射される現代――ニヒリズムと向き合う
- 植民地主義の原罪と文学 9・11以後を考える いわゆる自虐史観をめぐって
- 六〇年代の詩とモダニズム――<個>と<全体>の亀裂から
- 子供時代の悪の責任をどうとるか――ブレヒト「子供の十字軍」
- 「ボヘミアン・ラプソディ殺人事件」の謎――〈してしまったこと〉のとり返しのつかなさ
- 歴史に照射される現代――ニヒリズムと向き合う
- 植民地主義の原罪と文学――9.11以後を考える
- いわゆる自虐史観をめぐって
- 『辻詩集』への道――以倉紘平における故郷と国家
Ⅳ 人ともの――社会主義は死んだネズミか
Ⅴ 詩と会い、世界と出会う旅
- 〈東ヨーロッパ〉
- カフカの小路で1
- 日常のなかの終末――クリスタ・ヴォルフ『夏の日の出来事』
- <アラブ世界〉
- アラブの詩人アドニス
- アラビア語版日本現代詩集『死の船』のために――ムハンマド・オダイマ氏の質問に答える 〈付〉 詩人 高良留美子さん
- 〈ソビエト・ロシア〉
- モスクワ通過
- アレキサンダー・ドーリン氏を囲んで
- 女性シンガーソングライターを招く――ヴェロニカ・ドーリナさん
- ソビエト崩壊時、モスクワ車事情
- 映画『私は二〇歳(はたち)』の中の同時代――言葉の氾濫
- 〈アフリカ〉
- ガーナの恋歌は月夜の晩に――日本の歌垣とアフリカの口承文学
- 日本とアフリカの口承文学――ガーナ大学の国際会議に出席して
- 口承文学会議設立の経緯および現在までの活動概況
- 日本の掛け合い恋歌の伝統について――アフリカ口承文学会議における発表
- アフリカの女性の地位
- アフリカに来て―――ここはアフリカだ!
- サンゴール氏の来日
- マジシ・クネーネとの再会――大地への責任
- 白人支配社会の終末相―南アフリカの女性作家ナディン・ゴーディマの小説を読む
- 〈アメリカ先住民〉
- アメリカ先住民の口承詩――金関寿夫氏の仕事
- 〈日韓交流〉
- 日韓女性文化の再発見と交流のために
- 実に遠い道をきた――ワシントンで日韓・詩と音楽の交流
- 済州島で文化芸術の祭典――舞踏や詩の朗読などで交流
- 拒食症と暴力――負の連鎖、物語へと昇華
- 〈アジアの国々と日本〉
- ネパール・創作意欲盛んな女性詩人――バニラ・ギリさん
- 中国の太湖石と人間の頭脳
- 木を愛したタゴールとコルカタの動物供犠
- 『地に舟をこげ』の終刊を惜しむ
- 詩における東と西――アジアからの孤立
- 沖縄で考えたこと――女性の性的被害を根底にすえた戦後文学を
- 幕末の国内難民――映画「ほかいびと~~伊那の井月~」の監督への手紙
Ⅴ 詩誌と詩人会、詩運動へ参加
- <『詩組織』>
- 『詩組織』をめぐって――フェミニスト詩人を輩出
- 『詩組織』編集後記
- 谷敬とビラの行方――一九六〇年を歩きつづけた詩人
- しま・ようこを読む――父の戦争
- 〈現代詩人会〉
- 現代詩人会に入会した頃のことなど――黒田三郎さんからの電話
- 〈現代詩の会〉
- 「現代詩の会」解散への私の疑念――現代詩と散文の不在
- 「現代詩の会」解散への道――関根弘・花田清輝・堀川正美・黒田喜夫・吉本隆明・長田弘
- <『蛸』>
- 『蛸』のこと――文学運動壊滅からアジア・アフリカ文学運動へ
- 『蛸』編集後記
- 山田初穂の詩心の裏側に大空がある
- 花田英三――坂下の男の子
- <『ユリイカ』〉
- 伊達得夫という人
- <「現代詩手帖」〉
- 言葉が読者に届く感覚――現代詩手帖創刊50周年
- <『詩と思想』>
- 笛木利忠―─戦後という時代からしか生まれなかった人
- パネルディスカッション 『詩と思想』の40年をふりかえる (出席者) 中村不二夫・高良留美子・麻生直子(発言順)
- <芸術運動について〉
- 芸術運動の不可欠性をめぐって――花田清輝と吉本隆明
Ⅶ 現代詩の地平――詩壇時評より
- 楕円はなぜ円になったか
- 作詩主体の無意識と庶民ブリッコ――書いている自分とは何であるか
- 詩の〈外部〉への眼
- 『サラダ記念日』論と詩壇の腐敗
- すべてはシミュラークル?――言葉と経験が切り離される
- 比喩について――出口のないところに出口を見出そうとする人間の営み
初出一覧
あとがき
著者による本