1979年10月、麥書房から刊行された藤田晴央(1951~)の第1詩集。
ぼくは、最後の二行を読んで、泣きそうになった。いい詩だ、とてもいい詩だ。もし藤田がまったく未知の人間であったとしても、この詩を読んだら、あの晩、まったく未知だった鈴木翁二に会いに行ったように、藤田に会いに行ったと思う。とてもいい詩だ。(池井昌樹)
ここにおさめられた詩篇は、一九六九年から七九年までの間に、「泥」「露青窓」「四季」「ZERO」「孤裘」に発表したものの中から集めたものである。年齢にして、一七歳から二七歳までのものだ。「四季派」に心酔していた弘前の〈少年〉が、例えば政治の荒野を駈け抜け、例えば愛恋の密林に潜み、東京の〈毛男〉へと化してきた姿がここにある。(「覚え書き」より)
目次
日々(序詩)
Ⅰ
- 毛男
- 秋、十月
- 方面之奇
- 国境
- ロマン挽歌
- 湖
- 流鏑馬
- 青春惨歌
- 帰らざる河
Ⅱ
- 日記
- 十月の舗道
- 朝 空に向って
- 酒場にて
- 熱帯夜
- 市街戦のあと
- 刺客
- 東京暮色
- 闇なお深く
祓文 池井昌樹
解説 清水昶