1982年9月、手鞠文庫から刊行された清水正一(1913~1985)の随筆集。装幀は池田隆夫、扉カットは著者。
詩人清水正一を知って40年近くになる。その間、彼は“左岸”と愛称する大阪北部の市井に腰を据え、劇忙の生業のなかで真摯な詩作を持続し、詩書を耽読してきた。彼に触れていつも驚嘆するのはその博識であり、何よりも世俗によごれない純一な詩人の魂であり、さらにはいささかも老いることのない精神である。世評の高かった『清水正一詩集』と表裏をなすこのエッセイ集においても、その詩精神が流露している。(「帯文/足立巻一」より)
目次
Ⅰ
- 忘れものの多い床屋――父のいる風景
- 清水りんさま
- チャンバラ・バアさん
- 左岸への手紙――わが新淀川と右岸の町
- オーサカ群島――わが青春残酷物語
- 途上
Ⅱ
- ル・マルセー湯
- 犬は詩人を裏切らない――しぬるときひとこえチャンとないて…
- 黄色い区外で
Ⅲ
- オーサカ――詩人ふぜいノート
- 遠い断片――Y左岸で
- わがオーサカ――杉山平一「大阪通信」から
- 雨ノフル日曜日ノ今橋2丁目ハサビシイモノデアル――小野十三郎陶板詩展を逸す
- 橋の上の少女――冬衛文学から忘れがたき一つ
- 信濃橋
Ⅳ
Ⅴ
Ⅵ
- 詩人の職業――ある日の、安東次男氏の一文から
- 伊良子清白・その詩と職業――島本久恵著『明治詩人伝』にふれて
- 短詩について
- 詩ハ他人ノハジマリ
- 幻想の対話・詩の夜
あとがき
書評等
発掘本・再会本100選★犬は詩人を裏切らない |清水正一…………☆オーサカ淀川左岸の町や右岸JUSOの暮らしをうたった。(気になるフレーズ――この本、この1行)