1967年3月、昭森社から刊行された飯島耕一(1930~2013)の第4詩集。装幀は三木富雄。
一九六五年十月のある夜、ぼくはとつぜん詩を書こうという自然な気持にとらえられた。その日の夜あけ前の二時間に、ぼくは第一の詩をほとんど一行の書きかえも行なわず書いた。翌日の深夜にも、ふたたび可能なかぎりオートマティックな記述を行って(可能なかぎりと言うのは、記述にあたって、たえず自分から離れようという意識だけは明確だったからだ)第二の詩を書き、こうして五つの夜連続して、ほぼ同じ時刻に、毎夜一つずつ詩を書いた。ぼくは全体として、これに二、三の字句の訂正と、二、三の行分けの変更のほか、少しも手を加えないままに印刷する。
「三つの超現実の夜」の「塔」三篇は同じ年の十二月のある午後から夕方にかけて、掲載順に、これも可能なかぎり短い時間に書いたものである。これらの詩はこの前後に書いた詩とは別個のものなので、未発表のまま一冊にまとめることにした。未知の読者にもここに救い出された言語が何事かを語っているものであればよいが。
(「あとがき」より)
目次
三つの超現実の夜
- 塔
- 塔
- 塔
夜あけ一時間前の五つの詩
- 1星の光なしで
- 2この季節
- 3星の命令法
- 4薔薇巻貝
- 5……への距離
あとがき