1940年2月、私家版として刊行された木村次郎(1916~?)の詩集。
ぼくは近々入營することになつてをり、此の拙い詩集をだすことにしました。ぼく自身才能があるかどうかもわからづ、全てを「軍隊」に賭けたいま。この新しい出發はたいへん不安でもありまた喜びでもあります。
全てを軍隊に賭けたとは云え、この詩集に對して、こんな生活はもうたまらないという感情と、何か捨てがたい愛著もあることは事實です。
これから先何年後にお會いできるか、或いはこれが最後になるかぼくのあづかり知らぬ事柄でありますが。戰爭は人生のカーブではなく。ぼくら若い世代にとつては直線通路なので。それだけ職爭に封して眞劍ですが。またこの人生を樂しむ餘裕もあります。
銃後にをられる貴方にはぼくらより、むしろ烈しく戰爭と向かいあつてをられることかも知れません。益々險しくなるであらう社會に生きるX兄。貴方の健康を全うされますよう。
(「X兄え」より)
目次
・海流
・一九三九年・心象素描
- 12篇
・組詩・夢
- 夢
- 壁
- 娼婦の家
- 群
- 北風
- 街道
あとがき<X兄え>
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