1979年6月、思潮社から刊行された北川透(1935~)の評論集。写真は森山大道(1938~)、装幀は三嶋典東(1948~2012)。
*本書に収めた評論は、【現代詩手帖】一九七六年四月号から、一九七九年四月号までの三年問に、二十回にわたって断続的に連載した「詩と批評の闇渠(同時代覚書)」のうち、前半の十篇に次の二篇を加えたものである。
(1)菅谷規矩雄覚書のIの部分=『菅谷規矩雄詩集』の〈解説〉として書いたもの。
(2)岡井隆口序説=現代歌人文庫『岡井隆歌集』の〈解説〉として書いたもの。
*評論の配列は、前記二篇を除いて、発表順である。今回、ここに収めるにあたって、引用文献についての註をつけた。
*引き続き、連載の後半が『詩的弾道(同時代覚書・下)』として刊行される。
*本書は下巻とも合わせて、連載評論としての統一した時間的構成をもっているが、内容的には、上・下巻とも、いずれも独立した評論集として読めるはずである。むろん、著者としては上巻を読んでいただいた方が、〈対〉として構成されている下巻にまで手を伸ばしていただけたら、という希望をもっていることは言うまでもない。(「本書への若干の自註」より)
目次
- 〈芸〉の論理・批判からはじめて ・岡庭昇『冒険と象徴』を読む
- 迷彩の位置 ・清水昶覚書
- 無言――そのことばぐるいの逆説 ・菅谷規矩雄覚書
- リズムの問題 ・那珂太郎、菅谷規矩雄、岡井隆などに触れて
- 〈原風土〉への愛と背反 ・岡井隆口序説
- 精巧なる空車(むなぐるま) ・岩成達也〈擬場〉覚書
- 許容と拒絶の自由 ・月村敏行〈原理〉の変容
- 〈極私〉の現在 ・鈴木志郎康〈プアプア詩篇〉以後
- 父親の歌 ・宮城賢覚書
- バルセロナ出身の鳩 ・飯島耕一覚書
- 天真爛漫体のゆくすえ ・岡田隆彦覚書
本書への若干の自註