1996年5月、青土社から刊行された豊原清明(1977~)の第1詩集。装画・本文カットは増田まさみ。元版は1995年の霧工房版。第1回中原中也賞受賞作。
この詩集に収めた三十二編の作品は、主に中学時代に書いたものです。中学の時は不登校児でしたから暗い印象しか残っていませんでしたが、こうして一冊の本にして振り返って読むと、暗い事ばかりではなかったな、と思います。特にKCCの詩の教室に通っていた時はとても楽しかったし、自分に自信を持てました。とは言っても、現実では家庭内暴力という、悲惨な状態でした。学校の成績もかんばしくなかったですし、友人とのトラブルもあります。
そんな中、僕は文学青年ではなく、生きるために手探りで詩を書き続けてきました。伊勢田史郎先生や渡辺信雄先生、増田まさみ先生、KCC事務局の菊池雄二さんには深く感謝を申しあげます。児童詩教室という場が無ければ、こうして詩を書く事もなかったでしょう。
高校生になった僕は、中学の頃を時々思い出し、教訓にしたり、あの時はこうすればよかったと、後悔をしたりもしています。現在でも、トラブルを起こしたりもしますが、一生懸命に毎日を生きています。
将来、大人になった時、この詩集を読み返し「こんなささいな事を考えていたのか」と、思えるような自分でありたいと願っています。
(「あとがき」より)
「夜の人工の木」は一九九五年の兵庫県南部大地震により、著者はじめ本書関係者一同が家屋損壊などの被害を受けたなかで、霧工房から出版されました。作品の指導に当たっては、主に伊勢田史郎先生、編集及び刊行に当たっては、渡辺信雄先生、増田まさみ先生の各先生方のお力添えをいただきました。
このたび「第一回中原中也賞」受賞を契機にして霧工房の承諾を得て、改めて青土社から出版されることになりました。
(「新版あとがき」より)
目次
- 春彼岸
- 緑
- ぽくの旅
- 夜の人工の木
- ニッポン・ア・モダン
- 雪
- 獣とタバコに死因
- 満月
- ため息
- 神戸
- 原爆ドーム
- ハ月
- 軽量級
- 飢える子供
- 明石
- たずね人
- 崖
- コスモス
- 太陽
- 真夏の風
- 光と影
- 雨の中の欲望
- 夕日
- 豆電球
- 言葉
- 今
- 公園
- 鬼
- コウモリ
- 春の夕
- 低い声
- 初しぐれ
跋文――伊勢田史郎
あとがき
新版あとがき
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