1970年11月、長江書店から刊行された井川博年(1940~)の第2詩集。
最初の詩集「見捨てたもの」を出してからもう八年経った。いま二十代の終りにこの葉っぱのような詩集を出すと、十年以上もの間に、わずかに三十編程の詩しか書いていないことになる。これでは詩人とも言えまい。
人々の忘れ去った荒れた精神の奥地で、古びた送信機より送られる「深夜放送」を、今日も何処かで聞いている少数の幸福な人々にこの詩集をおくる。
(「あとがき」より)
目次
Ⅰ
- 深夜放送
- 部屋
- くらげ
- 花の一日
Ⅱ
- 回転する事件
- 夕陽のバラード
- 埋葬のバラード
Ⅲ
- 古譯詩
- 二月
- 四月二十八日の夢
- 風の切れ味
- 庭での食事
あとがき