離陸 倉持三郎詩集

 1977年8月、国文社から刊行された倉持三郎(1932~)の詩集。刊行時の著者の職業は東京学芸大学助教授。D・H・ロレンス研究者。住所は町田市。

 

 これは私の最初の詩集である。『詩研究』、『日本未来派』、『あるでばらん』に掲載した作品から自ら選んだものである。過去約十五年にわたって発表したものであり、ほぼ年代順に配列した。
 大部分の詩は『詩研究』に発表している。四国の高松で編集者の十国修、葉原幸男の両氏と知り合い、同人に加えてもらうことがなかったならばこの詩集は生れなかったであろう。両氏ならびに同人の方に感謝する次第である。はじめ英詩を読む会に出席していたが自作も発表させてもらうようになった。正式に同人に加えてもらったのは三十九号からである。同誌は今、八十五号だから、小生はその半生、同人であったことになる。ほぼ毎号作品を発表しているが、これは、原稿を出ししぶっていると十国氏から催促の手紙が来たからそう続けられたのであってひとえに氏の根気のお蔭である。
 高松を離れてからは同人と会うことがなく、『詩研究』に作品を書いて送るというだけになってしまっていたが、四年ほど前から、福田陸太郎先生の御紹介で、『日本未来派』に参加させていただいて、詩論や作品を発表する機会を与えられた。毎月の例会では同人諸氏の談論から詩作への関心と意欲をかき立てられている。編集者の佐川英三、田村昌由の両氏をはじめ同人諸氏にお礼を述べたい。
 ここに作品はとらなかったが、最初に詩を発表した投稿雑誌『文章時代』、大学時代の同人誌『オリンポス』、『あおぶどう』のお蔭をこうむっていることもつけ加えなければならない。
 少年の日、私は『若菜集』を読んで、詩の美しさを知った記憶がある。その頃は自分の詩集などということには考えおよばなかったが、めぐりめぐって自分でも詩をこのような形で発表する機会がまわってきたことに感無量である。ただ憾みとするのは未熟にしてまだ自分の心情を自由に表現できないことである。
(「あとがき」より)

 

目次

  • かぎをまわせ
  • みしらぬひと
  • 合評会
  • 吊された男
  • うしろから
  • へび
  • 離陸
  • さい
  • よろいど
  • 重量
  • 部屋
  • 一言
  • ジプシー
  • コンクリート
  • 積み木
  • 餌づけ
  • はえ
  • 巨体
  • 力を入れよ
  • 割礼
  • 黒い手
  • 鎖の幸福
  • あいくち
  • 別辞

跋 十国修

跋 福田陸太郎
あとがき


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