1989年9月、東京出版センターから刊行された正木啓二(1918~)の回想録。
昭和十年代は文運を高めた時代だった。戦時下の、抑圧され拘束多かったわが青春時代の道のべにも、名を知らぬ花々が咲き誇っているのを見ることができた。
遠い日の、文芸の花の在りかをもう一度訪ねて記しておきたいと思う。そうした文学青春の随想、あるいは実名小説として読んでいただければ幸いである。
暗い谷間の、当時の「われらの仲間」については年来の友人、東京出版センター社長の山田 静郎君が「NTTジャーナル」誌に、この二十年毎号連載している好エッセイ「春夏秋冬」の なかから選んで再録させていただき、失われた時を索めていくためのよすがとした。
(「あとがき」より
目 次
- 第一章 若葉みち
- 第二章 暗くなりけり
- 第三章 青しぐれ
- 春 夏 秋 冬
あとがき