1963年1月、思潮社から刊行された上田静栄の第4詩集。
詩を書きつづけることのひとつの意味は、人間の絶え尽きることのない声をこだまさせることによって、つねに『人間』という自覚をひとびとに強制することにあります。そして、詩を書くという行為が、おおきな犠牲と忍耐とのうえに行われることを知っているひとびとにとって、詩人とは、自己のうちに潜む内面の声を宇宙の果てにむかって発してくれる犠牲者にほかなりません。みずから、この犠牲者の歩みを選びとり、三十余年のあいだ、このこだまの響きを共鳴させてきた上田静栄氏に深い敬意を捧げます。ここに収められた幾多の言葉と、そのむこうの遥かなるヴィジョンにむかっても――
<木原孝一>
目次
- 冬
- 金魚。
- うら庭
- 蕪村の墨画
- 燃える化石
- 尾ヒレに描いて
- 花と鉄塔
- 熱い泉
- 美しきトゲ
- しんぞうのお話
- とべないもの
- 対話
- かぎりないもの
- 紀
- 富士
- 雲
- 波のあと
- クレー
- ピカソ
- バスで
- 自然の顔
- 桃の木
- 霊鳥
- 詩の本
発表誌紙一覧
刊行書一覧