鶴の天 菖蒲あや句集

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 1997年1月、梅里書房から刊行された菖蒲あやの第3句集。

 

 句集『路地』を出してからもう三十年余り経ってしまい、再版を出してからも三年経ってしまいました。俳句は履歴書という岸風三樓先生のお言葉からして、私の履歴書は第二句集『あや』以後停まってしまっています。
 その後の生きている証の履歴書をと思いながら、怠慢の二字でのびのびになっていたのが、いろいろの方達の後押しでやっと、このたび第三句集の発行の運びとなりました。
 句集名の『鶴の天』は、生まれじめて飛行機に乗り、鹿児島の出水に行った時の光景です。もう月も出ている空に田に帰る鶴を二羽三羽と仰いだ時、こんなに美しい空を見た仕合わせが脳裡に焼きつきました。たった一羽で帰る鶴もいました。
 あれから二十年、風三樓先生と、たった一人の弟が亡くなりました。
 自分自身も成人病となり、今年の春さきから目も見えなくなりましたが、幸いにまだ白内障だけとのことで、七月、九月と二回にわたり手術をしてもらい、こんなに世の中が明るいということが判りました。
 鶴の天をはじめて見た時から、二十年を経て、こんなに美しい青い青い天を見たことはありませんでした。皆様のお力添えで出来上がった句集、天上に舞い上がりたいくらい嬉しいことです。

眼帯をとれば秋天青し青し あや

(「あとがき」より)

 

目次

  • 師弟 昭和五十二年―五十五年(九十四句)
  • わが刻 昭和五十六年―五十九年(七十四句)
  • 鶴の天 昭和六十年―六十二年(百句)
  • 雁の夜 昭和六十三年―平成二年(九十三句)
  • 初夢 平成三年―五年(九十四句)

あとがき


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