1991年9月、六法出版社から刊行された小池純代の第1歌集。装書は岡井隆、装幀はコスギ・ヤエ。ほるす歌書。
一九八七年から一九九〇年にかけての一五二首を収録した。いづれも次々に過ぎてゆくなにものかを呼びとめるために付けた、三十一音から成る名前のやうなものである。しかし、呼ばれて立ちどまったものは今のところゐない。名付けた、と思つてゐるのはわたしばかりで、たぶんこれらは名前ではなくて、なにものかが一瞬にして脱ぎ捨てていった殻なのだろう。あれこれ脱ぎ散らかしてどこかへ行ってしまった連中を、総称して「雅族」と呼び、もつて歌集の名前とする。
(「あとがき」より)
目次
Ⅰ
- 白風抄
- 青煙抄
Ⅱ
- 空間水譜
- 黄昏逢譜
- 洛北雪譜
Ⅲ
- 食の歌
- 勤めの歌
Ⅳ
- 雨都(うと)
- 海郷(かいごう)
Ⅴ
- ありがれいしょん歌留多
あとがき