1970年10月、国文社から刊行された水谷清(1916~)の第2詩集。装画・装幀は平野充。著者は日本橋浜町生まれ、刊行時の住所は豊島区南長崎。
この詩集に収められ作品群はすべて一九六八年一〇月から七〇年九月でのあいだに詩誌<新詩人><詩篇>に発表されたものであるが、書かれた時期はそれより数年前に遡るものもあり、目次の配列もかならずしも作の順序に従っていない。
いささか散文にながれ詩としての凝結度を欠くものもあり、意に満たないものもあったがそれぞれ愛着があってほとんど全部を収める結果になった。ひとたび発表されたものはすでに放棄されたもの、書かれたものは自分の所有を離れて呼吸しているので今更手を加える気にもなれなかった。ある時代の、ある時間を生きたひとつの魂のバイオグラフイとしいただければ幸いである。
(「あとがき」より)
目次
- 樹木Ⅰ・Ⅱ
- 公園で
- ブラック・スワン
- 少年の日
- 叙情歌
- ぼくは歌っていきたい くりかえして
- 幼児退行への夢
- 生きる理由
- 旅のおわりに
- 都会の雪
- 記憶の海
- 夜明けのバラ
- 晩い夏の海辺で
- 失われた道の果てに
- 優しい出航
- 夏の旅
- 岩礁のつぶやき
- パイプ
- 国電・目白駅
- 五月の詩法
- amitié
- 夏の牧歌
- 姪に
- 炎のあとに
- 炎のなかを
- 死んだ胎児のために
- 運河のある街
- 冬の宴
- 月並みななげきぶし
- 雨の夕べの音楽会で
- マニエリスティックな朝
- ペエパー・ナイフ
- 鈴
- レモン
- 影
- アンケート
あとがき