太平洋 一九五〇 ― 一九六二 堀川正美詩集

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 1964年7月、思潮社から刊行された堀川正美(1931~)の詩集。装本デザインは大野健一。

 

 三部にわかれているのは、それぞれ単行の詩集として仮定されていたからである。発表後相当に改変した作品もある。とにかく、これで「一巻の終り」だ。理由は他にない。
 芸術の、とりわけ詩の価値をながいあいだ信じようとしないでいた。それで、詩集を出すことの意味を無論認めることはしなかった。しかし今まで詩を書いてきたことに責任をとることにする。はじめから、自分が詩から逃げ出す自由はひそかに確保もしてきたのだが、それを捨てようと思う。将来も詩に関わるかぎり、そして詩を自分にとって相対的なもでなくしようとするかぎり、どうにも止むを得ない処置のようだ。気ままな契約結婚生活を変えなければならないのが常に不愉快でもあって、深ぁいところへ墜ちこんでゆくようないやぁな感じもする。さらば青春……
 敬愛するわが友、岩田宏が、この詩集が出るきっかけをっくった。これを彼に捧げる。そして友情を公表し、イニシアルの焼印を捺して煙を立てる。
(「つきあたりの部屋」より) 

 


目次

i 航海と探検

i 初期の詩

  • 漂流する窓と難破
  • 褪せる
  • 希望
  • 小湾にて

ii 滴る鳥

  • 梨の園
  • 道祖神
  • 猟人
  • 礼拝堂
  • 他の秋
  • 棕櫚
  • 雨の神話
  • 版図
  • 大雪山・十月

iii 蓮の花の宝石を讃えよ

  • 木霊
  • 八月
  • 神々の黄昏
  • 人間
  • 月道から日道へ
  • 半月の植物

ii 声 その他の詩

  • 白の必要
  • 回路
  • 陽炎
  • 親和力

iii 太平洋

i 海の葡萄

  • 感傷旅行
  • 死んだアメリカの詩人に
  • 休息の半島
  • 想像力の休暇
  • 日の国
  • 混沌に捧げるオード
  • 必要なもの
  • 夢のいれものにさわる
  • ハロルドの巡礼
  • さいごに駆けこんでくるひと

ii 時間とヴィジョン

  • 去つた夏の物語
  • アルコール1
  • 幽霊ブルース
  • アルコール2
  • 帰郷
  • 時のたまりばを移る
  • 失敗の海
  • 経験
  • われら365
  • 感動が無感動になるとき
  • ゼロと世界工場
  • †††
  • 太平洋
  • 書物の教訓
  • ひまわり

iii 都市

  • 日本海六〇・飛島にて
  • おわかれ
  • 眠い
  • 伝説の一章
  • 黙示録
  • 夜のへり
  • 睡眠バルーン
  • 不眠の王国
  • 海峡
  • うつろなこころの休暇
  • 叫びと身ぶり

iv 斜面のうえで

  • 人間は猿の友人
  • バルコニーにすわって
  • おとろえてゆくこころに
  • 黄金時代
  • アメリカの男たちに
  • 行為と実在
  • 新鮮で苦しみおおい日々
  • 貝殻草
  • へんなひとがやってくる

 

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